『UXデザイン入門』に学ぶ、デザイン調査のパターンとポイントまとめ
- 作者: 川西裕幸,潮田浩,栗山進
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/01/26
- メディア: 単行本
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デザイン調査
- 「ユーザーについて知る」こと
- 具体的には、「ユーザー」そのものと「ツールの利用状況・目的」の理解のこと。
モチベーション
- どんなユーザーが(who)
- どんな状況で(where, when)
- どんな目的を達成しようとして(what)
- (もしあれば)どのようにツールを使っているのか(how)
に加えてさらに、
- なぜか(why)
を引き出していく。
ポイントは、現行のUIの問題点や改善点の抽出ではなく、 ユーザーの利用状況や目的を理解し、根底のニーズ(why)を理解していくこと。
ターゲット
まず、調査対象のセグメントを設定する必要がある。
ユーザーが特定の領域に限られる場合
たとえば、企業用の会議室予約ソフト。
- 既に使ってくれている企業
- 似た環境で既存のシステムを使っている人
など範囲は絞られるので、具体的な組織などにアクセスできればOK。
ユーザーが広範囲に及ぶ可能性がある場合
たとえば、オンライントレードに興味がある人向けのウェブサイト。
ユーザーの設定が抽象的の上、かなり相当数の想定ユーザーがいる。 この場合はユーザーとしての条件を設定し、その条件を満たす代表サンプルをターゲットに設定する。
具体的な手法としては、
- 不特定多数に上記の条件に関する事前アンケートを行い、ふるい(スクリーニング)にかける
- 条件を満たしたユーザーのみを対象に本アンケート・インタビューを行う
などが考えられる。
デザイン調査のパターン
Contextual Inquiry
- 観察
- 目の前でツールを使っている様子を見ながら、
- インタビュー
- どのような目的で、どのように利用してるかなど質問
をする方式。エスノグラフィー。 ニーズを探し出すのに最も情報が多いと考えられるが、コストが高い。
ポイント
- 師弟関係のイメージで、教えを請う形でインタビューを行うこと。
ユーザーインタビュー
- ユーザーと直接対話する。
- 対面でも、電話やビデオ通話でも可。
複数人で行うグループインタビューの形では議論の活性化(グループダイナミクス効果)が期待でき、 1:1のインタビュ―で聞けなかった意見が聞ける可能性もある。
ポイント
- 信頼関係(ラポール)を築くため、世間話や雑談等から始めること。
- 長丁場にしない。集中力が切れてしまう。
※UXデザイン入門の筆者の経験では、ユーザーの根底に潜むニーズの理解には、広くインタビューするグループインタビューよりも、深くインタビューをする1:1のインタビューの方が有用なデータが得られることが多い、らしい。
観察調査
- ユーザーがどのようにツールを使っているか観察する。
- ただし、こちらから働きかけをしない。
eg)「電子案内板」の設計などはフィールドワークで観察。
ユーザビリティテスト
- ユーザーのタスクを課し、そのタスクを完遂するまでの振る舞いを観察する。
UIの設計にフォーカスした改善・改修のためのユーザビリティテストとは異なり、 あくまでも振る舞いから潜在的なニーズを明らかにすることがポイント。
サーベイ
- アンケートを作り答えてもらう
このリストの中では最も「定量調査」に近い。
日記調査
- ユーザーに日記やフォトエッセイを書いてもらう。
中長期的な利用が見込まれるデザインに有用。
eg) 不動産販売サイト
マンションの購入を検討しているユーザーがどのようなメディアを利用して、どのようなWebサイトをどのような順番で利用して、最終的に何が決め手になって購入に至ったか、などをユーザーの記憶が新しいうちに記憶してもらうことで、精度の高い情報が得られる。
プロセス
計画
- 調査事項を明確にする
- 手法を決定する
準備
- 対象ユーザーのリクルーティング
- 振る舞いが異なりそうなセグメントがわかっている場合、事前調査(スクリーニング)などを行いそれぞれのセグメントから数人ずつ抽出できるとよい。
実施
- 現地での記録
- インタビューの実施
- ディブリーフィング(振り返り)