グラフィックレコーディングにおける「アイコン化」「構造化」とその引き出しの増やし方を考える

Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書

Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書

グラフィックレコーディングとは

グラフィックレコーディングとは、「人々の対話や議論をリアルタイムでグラフィックによって可視化する」こと。

UXデザイナーの清水淳子氏(@4mimimizu)が提唱している手法で、主にビジネスシーンでのミーティングの生産性の向上に効果的だと言われています。

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わたし自身も普段のノートテイキングやミーティングでグラフィックレコーディングを取り入れつつ思考/議論を進めることが多いのですが、「グラフィックレコーディングの有用性って何だろう?🤔」「どのように訓練していけばいいのか?🤔」ということを考えてみました。

グラフィックレコーディングの有用性

主に会議の場での使用ケースにフォーカスしてみると、以下の2つの有用性があると考えられます。

  1. 共通言語になる
  2. 整理・記録を助けるコンテクストになる

共通言語になる

一般に、言葉のみで行われるコミュニケーションには齟齬が生じやすいと考えられています。

劇作家である平田オリザ氏が著書「演劇入門」の中で指摘しているように、私たちは「自分の考えは、当然、自分の考えている当の事物と一致しているもの」と思っていたり、「自分がある言葉によって表明した考えや物事は、他人も同じ言葉によって表明する」と信じがちです。

しかしながら、たとえ同じ言葉を使っていても、相手がイメージしているものが自分と一緒とは限らないですよね。イメージが異なると、お互いの共通理解がなかなか進みません。

そこで、グラフィックレコーディングを通して議論を可視化することで、相互理解のための共通言語を創り出しイメージの擦り合わせを行うことができます。

演劇入門 (講談社現代新書)

演劇入門 (講談社現代新書)

整理・記録を助けるコンテクストになる

ミーティングの場では、議論がひとつの方向にまっすぐ収れんしていくことは少ないかもしれません。

議論が横道に逸れたり、いくつかの議題が並行して進んでしまったりしがちです。

しかし、グラフィックレコーディングを行っていれば、全員が見える場所にこれまでの議論が整理され記録された形で残っているため、各出席者が今何についての話をしているのか、また、これまで何の話をしてきたのか、などといったコンテクスト(文脈)を常に把握しながら会議を進めることができます。

他にも、会議の場では「アイスブレイクになりそう」「会議後のアーカイブになりそう」という有用性があったり、もしソーシャルで公開することを考えれば「わかりやすくてバズりそう」などいろいろな副次的な効果が期待できます。

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2つの要素と訓練法

さて、グラフィックレコーディングの有用性は上記のように整理されましたが、はてさてどうやって訓練していけばいいのでしょうか?🤔

まず、グラフィックレコーディングには以下の2つの要素があるため、それぞれ分けて考えてみましょう✂️

  1. 概念の記号(アイコン)化
  2. 議論の構造化

1. 概念の記号(アイコン)化

ひとつは概念の記号化です。

要は、「電話」なら黒電話☎︎や受話器📞、「旅行」なら飛行機✈️など、概念を画像化して表現することです。

ここで、リアルな絵を書く必要はなく、それこそ携帯の絵文字や、アプリのアイコンのような簡易的なもので表現できるとよいと考えられています。人も棒人間程度で描くのがベーシックです。(ただし、ターゲットユーザーのペルソナを表現する場合など「性別」「服装」などが重要になる場合は、そのような要素を省くかどうかは判断が必要ですネ🤔)

さて、「電話」「旅行」くらいの使用頻度の高い単語であれば、ユニバーサルに使われているアイコンがあるので、そこから学んで引き出しを増やすのがよいでしょう。

具体的には、Web業界でスタンダードとして使われているFont Awesomeのアイコンをトレースするなどが考えられます。

Font Awesomeのアイコン一覧のページを見ると、以下のように主要なアイコンが並んでいます。また、モノトーンなのでどのような現場でも使いやすいですネ。

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fontawesome.com

Font Awesomeには基本的なアイコンは網羅されていそうですが、「居眠り」「ビジネスカジュアル」などやや複雑な単語はどうでしょうか?

これらは定着しているアイコンがなく、すぐには絵にするのが難しいかもしれません。

このような場合は概念からイメージを想像して、記号化をするまでを都度都度出来るようになると完璧です。

それにはアイコン化の工夫を学ぶ必要があります。たとえば以下を考えてみましょう。

アイコン化の工夫:提喩

Q. 「電話」「飛行機」にあって「ビジネス」「旅行」にないものは?

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A. 前者は物理的に触れることができるが、後者はできない。

「電話」や「飛行機」など、その概念自体を物理的に触れることができたり、指でさして示せるようなものを記号化するのは難しくない一方で、たとえば「ビジネス」「旅行」などのやや抽象的な単語は難易度が高いです。

これらの単語は、現実世界で何かを指で指したり触れたりして「これがビジネスだ」「これが旅行だ」と言うことはできないからです。

このような場合は、その概念に対する下位概念を使ってアイコン化することがあります。

たとえば、「人はパンのみに生くるにあらず」と言ったとき、「パン」は「食べ物」、あるいは広く「物質的充足」の意味で用いられていますよね。

これを修辞技法で提喩 - Wikipediaと呼びますが、アイコン化においても同様にして「食べ物」を「パン」のビジュアルで表現することができるのです。

具体的には、「ビジネス」であれば、ビジネスシーンで頻繁に用いられる「ネクタイ」や「ビジネスバッグ」、「旅行」であれば海外旅行に行くのに必要な「飛行機」など、指で指し示せる下位概念を使ってアイコン化していく要領ですね。

この例以外のアイコン化の工夫も、実はFont Awesomeのアイコンを分析することで学ぶことかできます。

たとえば、

  • 既存アイコンの組み合わせ
  • 象徴的なシーン
    • 「到着」を飛行機の着陸風景で表す

などがあります。ぜひFont Awesomeのアイコンの成り立ちを研究してみてください🧐

2. 議論の構造化

もうひとつは、どういう関係性のものを、どういう位置付けで話しているのかを可視化することです。

つまり、→を使って方向性を示したり、面積を使って勢力や影響力の大きさなどを表現したり、あるいは箇条書きを使って同列の関係を示したりすることです。

頭の中では理解しているつもりでいても、実際に話を進めている中で常に構造化・整理が出来ている人は少ないため、グラフィックレコーディングをする際はどんなパターンにも対応できるようにいくつかの構造化の手法を知っておくことが重要です。

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上記のように構造化の引き出しを増やすには以下のようなコンサルタント・広告代理店などのビジネスマン向けの書籍のスライド図解術が参考になるはずです。

私も常に手元に置いていて、困ったときに目を通している名著です。

外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック

外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック

あとがき

グラフィックレコーディングの特徴とその訓練方法をご紹介いたしました🙇‍♂️

もともと画才が無く、グラフィックレコーディングも素人の私ですが、少し勉強しただけでも思考や議論がしやすくなるのを感じています。

さらに詳細な情報は以下の記事などを読んでみてください🙆‍♂️

www.1101.com